関税がビットコインに与える影響とは?初心者にもわかるリスクとチャンス

仮想通貨

最近話題のトランプ大統領の関税政策はビットコインにも影響はあるのでしょうか?
この記事を最後まで見ると、関税とビットコインの関係について学べます。
ビットコイン投資の判断に役立てていただけると嬉しいです。

関税とは?身近な例でわかる経済への影響

「関税」とは、外国から商品を輸入する時にかかる税金のことです。
たとえば、日本にアメリカの牛肉が入ってくる時、国が「この商品には○%の税金をかけます」と決めて、お金をとることが関税です。

関税には、いくつか目的があります。

  • 日本の産業を守るため
    たとえば、外国の安い農産物ばかりが売れると、日本の農家が困ってしまいます。そこで関税をかけて、価格差を調整するのです。
  • 国の収入を増やすため
    関税は税金の一種なので、国の財源(ふところ)にもなります。
  • 不公平な貿易に対抗するため
    もしある国がズルをしているような場合、関税を使って対抗することもあります。

ただし、関税にはデメリットもあります。
輸入品に税金がかかるということは、その分、消費者(私たち)が払うお金も高くなるということ。
また、企業の仕入れコストも上がり、商品価格が全体的に上がる「インフレ」に繋がる可能性もあります。

最近では、アメリカと中国の貿易摩擦のように、関税が引き金になって国同士の経済トラブルが起こるケースもあります。

そしてこうした「関税」や「貿易問題」は、実はビットコインのような暗号資産の価格にも影響を与えます。
なぜなら、世界経済の不安が高まると、「ビットコインのような逃避先に資金を移そう」という投資家が増えるためです。

米国の関税とビットコインの意外な関係

アメリカは、世界の中でも「関税」をよく使う国のひとつです。
特に2017〜2021年のトランプ政権の時代には、中国やヨーロッパ、日本、カナダなどからの輸入品に高い関税をかけ、話題になりました。

そして2025年、再び大きな関税の動きが起こりました。
アメリカが発表した「解放の日関税(Freedom Day Tariffs)」では、製造業やテクノロジー、農業などの幅広い産業が影響を受け、世界中で貿易摩擦が激しくなっています。

日本でたとえるなら…

たとえば、アメリカが「日本の車には20%の関税をかける」と発表したとしましょう。
すると、日本の自動車メーカーの株価が下がるかもしれませんし、日米の経済関係が悪化して、日本円も売られる可能性があります。

関税が暗号資産に与える影響とは?

ここで「それってビットコインと関係あるの?」と思うかもしれません。

実はあります。
なぜなら、関税は経済に不安をもたらす要因のひとつであり、「不安」が広がると、投資家はお金の逃げ道を探し始めます。

  • 株や通貨は値下がりしそう…
  • 銀行や政府がコントロールできない「安全な資産」にお金を避難させたい…

そこで注目されるのが、ビットコインのような暗号資産です。

ビットコインは、金(ゴールド)と同じように「価値の保存先」として見られることがあります。
特にアメリカの政策が世界中に影響を与える中で、「ドルの信用が揺らぐかも」と思われたとき、ビットコインに注目が集まるわけです。

1.関税が引き起こす「投資家の不安」とビットコインの価格変動

関税が導入されると、世界の経済に「これからどうなるんだろう?」という不確実性(先が読めない状況)が広がります。
この不安が金融市場に「ボラティリティ(価格の大きな変動)」をもたらします。

ビットコインは、株などと同じように「リスクが高い資産」と見なされることが多いため、こうした不安が広がると売られやすくなる傾向があります。

例:2025年、アメリカが中国製品に追加関税を発表した直後、ビットコインの価格は急落しました。
これは、「不安が高まったからリスク資産を手放した」という投資家心理が影響していると考えられます。

2.インフレと金利の上昇でビットコインはどうなる?

関税が上がると、海外からのモノの価格が上がります。たとえばアメリカが中国製のスマホに高い関税をかけたら、iPhoneの価格が上がるかもしれません。

こうした物価の上昇(=インフレ)に対抗するために、中央銀行(アメリカではFRB)が金利を引き上げることがあります。

金利が上がると、「借金して投資する」ことが難しくなるため、暗号資産に流れるお金が減る可能性があります。

しかし
インフレが進みすぎて「この国の通貨、大丈夫?」と不安になると、逆にビットコインが逃げ場として買われることもあるのです。

例:アルゼンチンではインフレがひどく、現地通貨の価値がどんどん下がったため、ビットコインを買う人が急増しました。

3.関税がマイニングコストを押し上げる?

ビットコインの“採掘(マイニング)”には、特別なマシン(ASICマイナー)が必要です。
この多くが中国などで作られています。

アメリカがこうしたハードウェアに高い関税をかけると、マイニング機材の価格が上がり、電気代以外のコストも増加します。

コストが上がると、利益が出にくくなり、マイナー(採掘業者)はコストの安い国や地域に移動する可能性もあります。
これがビットコインのネットワーク全体に影響を与えることもあります。

4.通貨が弱くなるとビットコインが人気に?

関税や貿易戦争が長引くと、その国の経済が悪化し、通貨の価値が下がることがあります。

すると、「この通貨にお金を預けていて大丈夫かな…」と心配した人たちが、ビットコインやステーブルコインなどに資産を移すことがあります。

例:トルコでは、トルコリラの価値が急落したとき、国民がビットコインに資産を移し始めたというデータがあります。

アメリカの関税によって、他国の経済が不安定になると、その国でも暗号資産の需要が高まる可能性があります。

ビットコインは「安全な避難先」なの? それとも「ハイリスク投資」なの?

ビットコインは、果たして「安心して資産を避難させられる場所」なのか、それとも「値動きが激しいギャンブルのような投資先」なのか。
これは、いまも多くの投資家たちの間で議論されているテーマです。

実は、どちらの見方も正しい部分があるんです。ここでは、ビットコインがどう捉えられているのか、そして関税などの経済政策がその評価にどう影響を与えるかをわかりやすく解説します。

安全資産として見る人

ビットコインの初期の支持者や、一部の長期投資家は、ビットコインを「デジタル・ゴールド」と考えています。
つまり、「インフレや通貨の価値が下がったときでも価値を保つ逃げ場になる」と信じているわけです。

日本でいうと「金」や「外貨預金」のように、将来が不安なときに資産を移す選択肢の1つというイメージです。

投機的な資産として見る人

一方で、「ビットコインは価格が上下に激しくて安定しない」と考える投資家もいます。
この見方では、ビットコインは株やハイテク銘柄と同じようなリスク資産として分類されます。

実際、株式市場が下がるとビットコインも一緒に下がる傾向がこれまで何度も見られました。

関税や経済不安で、ビットコインはどう動く?

たとえばアメリカが「関税を上げる」と発表すると、世界中の投資家に緊張が走り、株価が下がることがあります。
そしてそのとき、多くの場合ビットコインの価格も一緒に下がるのです。
これは「ビットコインもまだ“安心な避難先”とは思われていない」と見ることができます。

しかし、もし世界的にインフレが進み、「ドルも円も不安だ」となれば、話は変わります。

このような状況では、ビットコインは通貨リスクからのヘッジとして買われる可能性が出てきます
たとえば通貨の価値が下がって困っている国(アルゼンチンやトルコなど)では、すでにそのような動きが起きています。

ビットコインの「立ち位置」はこれから決まっていく

  • 短期的には: 株や他のリスク資産と同じように動くことが多い
  • 長期的には: 金のような「価値の避難先」としての地位を確立する可能性もある

つまり、関税などの経済政策が暗号資産に与える影響は、「ビットコインが何と見なされるか」によって変わるのです。

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